砂漠のバラ



幾億の砂の下で 
咲き誇る砂漠のバラ

かつては砂漠の水源だった

周りには旅人たちが集い
賑やかに語り合う

水面に空を映しながら
その話を聞いていた


やがて水は枯渇し
砂と化す
結晶だけが残された

それも砂に埋もれゆく


古の記憶と
かつて映した情景を
その内に秘め
再び砂上へ出ることを
夢見るように待ち続ける


永い永い時をかけ
風が砂を舞上げていく

ようやく砂上へその姿を現した

想い焦がれた空は
とても青く美しかった


それから


通りかかった旅人が
バラを見つけ
その手に取った

儚く脆いそのバラは
ぱしんと音を立て
しゃらしゃらと砂に落ちる

空がまた遠くなる


旅人は
手の中に少しだけ残った欠片を
そっと小さな袋に入れた


バラは欠片となって
砂上を巡る

水と砂と空の記憶を抱いて
砂上を巡る


あれから空を見たのだろうか








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