heavenly blue



「必ずここに戻ってこよう」

国を発つ時、親友のあいつと約束をした
生まれた町を見渡せる小高い丘で
共に見上げた空は限りなく自由だった



記者として、俺はここに立っている
兵士として、あいつはここで戦っている

ここは戦場 異国の街
崩れ落ちた壁 瓦礫の山

罪の無い逃げ惑う人々
……そして亡骸


戦争というものは
いとも簡単に人の命を終わらせる


戦争を始めたお偉いさんは
安全な部屋から出ようとはしない

軍人以外に駆り出される者は
戦う意味を見いだせない若者や
守る家族がいる父親たち

何かがおかしいと思いながらも
自分を騙して戦っている

国に心酔している者もいるが
それは、ごく一部だろう

多くの者たちが次第に心を病んでいく

記者として真実を伝えたいが
正確に伝わるかはお偉いさん次第だ
検閲に引っかかれば歪曲される

ここに正義があるはずもない



あいつがいる部隊に同行できたのは
唯一の幸いか

一日の終わりに
お互いが無事に生き延びた事を確認する
あいつは力なく笑う
一時の安堵

夜明けが来るまで、形だけの休息を取る
それを幾夜も繰り返す



その日、部隊は一旦拠点へと戻ることになった
移動中にあいつと目が合い
お互いが笑みを浮かべた

その時

何処からか耳を劈く銃の音
あいつが崩れ落ちていく

何が起こったのかを把握する前に
目の前の景色が歪み
次に映ったのは空だった
俺は仰向けに転がっていた

背中を生暖かい液体が
音を立てるように流れていく

あいつの名前を呼んでみたが
返事は返ってこなかった


……本当に、簡単に終わらせてくれるよな


俺は一つ苦笑を漏らし、空を見る
震える指でシャッターを切った


果たせなかった約束は
遠い異国の地に眠る


空はどこまでも青かった






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