雪



仕事を終えた帰り道

(今日はやけに冷え込むな……)

肌を突き刺すような寒さの中
頬に冷たい雫が落ちてきた
……雨かなと空を見上げる

「あ、雪だ」

今年初めての雪……と言うよりは
僕が住む街にはほとんど雪が降らない

何年ぶりかの雪

いい年にもなって
いまだに雪が降るとわくわくする

こんな僕を
君は「子供みたい」と笑うだろうか


胸ポケットから音が鳴る
携帯電話を取り出すと
君からのメール
その文面を見て僕は笑った
それはたった一言だけ

「雪!!」

どうやら君も僕と同じみたいだ
僕はメールに返信をする

「帰ったら雪見酒でもするか?」

そう送信するとすぐさま音が鳴る

「いいね! 乾杯しよう!」


君のあまりの返事の早さに
僕はまた笑ってしまった

周囲の人の訝しげな視線を感じ
慌ててその場から歩き出す



食料品店に寄って酒を選ぶ
ビールかワインか……

滅多にない事だから
ちょっと洒落てシャンパンにしよう

あとはチーズと生ハムも買って帰ろう
バケットもいるかな
あぁ、サーモンもいいな……

あれこれ手に取ってはカゴに放り込む

みるみるカゴは一杯になっていき
店を出る時には
大きな紙袋を抱えていた


いつもと変わらない一日のはずが

雪が降った

君との共通点を見つけた

たったそれだけで
帰る足取りが軽くなる


このまま積もったら
明日の通勤は大変だろうけれど


たまにはこんな日があってもいい






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